基準トルクは適正トルク??2014/05/06 15:24

タイヤ交換からちょっと間が空いてますが
暇なので記事にしてみました
今回タイヤ&ホイルを縁あって
栃木の「タイヤ上野」さんから購入しましたが
とても丁寧な梱包に感動しながら
送付状に書いてあったホイルナットのトルク・・
ハイエースの場合「100N・m」と書いてあり
あれ・・トヨタのM12って106N・mじゃなかったっけ
と思って取説見たら(5年も乗ってて見てないのかよって感じですが)
正確な記載はやっぱり「約100N・m(1000kgf・cm)」でした、
「約」って表現もアバウトで良いんですが
ご丁寧に
「タイヤ交換後は販売店でできるだけ早くトルクレンチで基準値にナットを締めてください」って注意書きもあります・・
ユーザーがトルクレンチ持ってないことが前提なのにトルク指定する?
って突っ込みたくなります

ちなみに現行型の取説では
100N・m(1020kgf・cm)となってて
「タイヤ交換後の・・」の記載はなくなっているようです
しかも
「ホイルを取り付けるナットにオイルやグリスを塗らないでください」
って最重要事項も記載が消えてます(web版だけでしょうか?)

さて
そもそもこの100N・mって値
どのくらいの力で締めればよいのか気になりませんか??

ハイエースのホイルナットはM12で
車載工具のホイルナットレンチの握りの長さは約25cmです
私の体重(成人男性約60kg)で両足をついた状態で
手でレンチに上体の体重をかけると
約40kgfの力がかかります
25cmX40kgf=1000kgm=約100N・mです
ちょっと短く感じるレンチですが理にかなってますね

ではどのくらいが締めすぎなのか・・

まずはメーカーの基準トルクがどのようなものか
ちょっと計算してみます。
車のホイル固定ボルトの材質がわかりませんが
使用箇所と表面処理から・・合金鋼(降伏点80kgf/㎟相当)
と推測して
M12xP1.5のボルトの有効断面積88.1㎟をかけてやると
ボルトが耐えられる荷重がわかります
88.1X80=7048kgf
これ以上の引っ張り力(専門的には軸力といいます)を
ボルトにかけるとボルトには元に戻らない伸びが発生し
破損まで至らなくてもねじピッチが狂いナットが回りにくくなったりします

一般的な締め付けトルクは
上の荷重の60%の軸力がかかるように設定しますので
T=0.2XQXd
(0.2は締め付け条件による係数、Qはボルト軸力、dはボルトサイズです)
T=0.2X(7048X0.6)X1.2=1015kgf・cm 
ということでほぼメーカー基準値となり・・
私の仮定が正しいと思っても差し支えないようです。
ということは基準の約1.7倍の力で締めると
ボルトが伸びることになります。

前述の「ナットにオイルやグリスを塗らないでください」が重要って書いたのは
トルク計算式の係数0.2がかなり小さくなるので
下手すると基準トルクで締めてもボルトを壊すことになります

楽しようと長めのレンチを使っている方
スタッドレス用などでホイル替える方で
保管時ナットやホイルのナット座面にさび止め油塗ってる方
交換前に脱脂するなど、締めすぎに注意しましょう
ねじは締め足りないより締めすぎの方が害が大きいです
(終わりの5行書くために長い記事になってしまいました・・)